プロジェクトで自転車の自動変速機を作った話

投稿者: | 2016-12-22

概要

私の通う専修大学ネットワーク情報学部では、3年次に8人前後の学生と顧問の教員1人で、1年間の調査活動や研究開発に取り組む必修演習科目「プロジェクト」があります。詳しくはコチラ(専修大学ホームページ)に。

私が所属する小田切プロジェクト2016は、「自転車の自動変速機及び周辺デバイスの開発」をテーマに1年間活動を行いました。12月までにプロトタイプとして完成にこぎつけた製作物は3つあります。自動変速機、残像ディスプレイ(担当者のブログに飛びます)、そしてウィンカーです。

今日は、その製作物の中でも、とプロジェクトリーダーの藤堂が担当した自転車の自動変速機について書きます。


コンセプト

自転車とはポピュラーな乗り物であり、誰もが使ったことのある乗り物でしょう。しかしながら、現状では、自転車は自動車やバイクなどとは異なり、マニュアル変速が主流です。オートマ自転車及び自動変速機はあることにはあります。SHIMANO CYBER NEXUSなどがそうです。ですが、今日、自転車の自動変速機やオートマ自転車というものは、そもそも認知されていなかったり、手の出しづらい値段帯であったりするなど、自転車を乗る人達にとって、選択肢の一つとしてはなかなか入りづらいというのが現状です。小田切プロジェクト2016では、「全ての自転車乗りにオートマという選択肢を」というのをサブテーマとして、安価かつ取り付けが容易で、自転車の取り回しを阻害しない自動変速機の開発を行うこととなりました。

自転車の自動変速機というと、ピンとこないかもしれませんが、そのメリットは様々あります。

例えば、マニュアル変速などは、熟練の自転車乗りでもない限りはエネルギーロスが大きいことが挙げられます。坂道を登ろうとして、その手前でギアを落としてはみたものの軽すぎ(重すぎ)た、などは、経験のある人も多いのではないかと思われます。そういったロスを抑えることで、長く巡行することが可能になるというわけです。

もう一つのメリットは、安全性の向上です。自転車という乗り物は、その性質上、操作系が手に集中している乗り物です。例えば、ギアチェンジを試みた直後に道路にモノや人が飛び出してきた場合に、手と意識はギアチェンジにあり、ブレーキはどうしても遅れてしまいます。特にスポーツタイプの自転車は、簡単に30km/h、40km/hが出る乗り物であり、一瞬の加減速が重大な事故か否かを左右すると言っても過言でありません。そこで、操作量の多い変速部分を自動化することで、ブレーキやハンドリングに意識を集中して向けさせることで、重大事故の削減にもつながるという考え方です。


出来たもの

前置きが少々長くなりましたが、実際に動いているところをお見せしたいと思います。


仕組み

今回製作した自動変速機は、Arduino M0というマイコンを用いて、各値の計測やモータの制御を行なっております。計測値の中には、クランクやホイールの回転数があり、1分間のクランク回転数のことを、「ケイデンス」と言います。ケイデンスが規定量よりも多ければ(少なければ)、サーボモータでワイヤーを引いたり緩めたりして、ギアチェンジを行います。各回転数の計測には、リードスイッチとマグネットを取り付けることで行います。これが基本動作です。

マイコンとサーボモータ

マイコンやサーボモータが収められているケースは、プロジェクトで自作したものです。Autodesk Fusion 360やAutoCADで3Dモデリングを行い、それを3Dプリンタで出力しています。

マイコンにマウントされている基盤

後述するコンフィグ保存用のEEPROMや、姿勢を取得するためのジャイロセンサー、3軸加速度センサなどが搭載されています。

ユーザはそれぞれ自分に適した回転数を設定して保存することができます。以下がそのコンフィグソフトの画面になります。

コンフィグソフトUI

コンフィグソフトはPCで立ち上げます。PCとマイコンをmicroUSBで接続し、シリアル通信をします。PCから送られてきた各値は、マイコンに外付けしたEEPROMに保持されます。この機能により、私たちの自動変速機は、ギアの枚数などに依存することなく取り付けることができます。

また、従来の自転車のようなマニュアル変速機能も有しています。マニュアル変速をする際は、ハンドルに取り付けられたタクトスイッチをクリックすることによって行います。

ハンドル部に取り付けられたタクトスイッチ

タクトスイッチはハンドルの左右についています。それぞれ、シフトアップ、ダウンの機能を持ちます。マニュアル変速を行うとしばらくの間オートで変速が行われなくなるので、マニュアル変速をした直後にギアが戻ってしまう心配はありません。


構成要素

変速機本体のソースコードはコチラ(github)。コンフィグソフトはコチラ。なお、コンフィグソフトは藤堂の担当となっております私はArduino M0で受け取るためのコードを書きました(Config.ino)。

変速機本体のコードは発表会でのデモ用に用意したものであり、後日リファクタリングしたものをアップする予定です(藤堂曰く、「ここ重要!」です)。

デバイス類については以下の通り。

  • Arduino Mo
  • ジャイロセンサ
  • 3軸加速度センサ
  • EEPROM
  • リードスイッチ
  • 可変抵抗
  • サーボモータ
  • タクトスイッチ
  • トグルスイッチ
  • トランジスタ

 


謝辞

ここまでプロジェクトをやってこられたのは、ひとえに教員の先生方やプロジェクトメンバーのご支援の賜物であると、心より感謝しております 。協力していただいた皆様へ心から感謝の気持ちと御礼を申し上げたく、謝辞にかえさせていただきます。

小田切先生、諸先生方、本当にありがとうございました。プロジェクトメンバー諸君。世話になった。

でももう発表会前に2徹するとか勘弁な。

しばらくサーボモータの動作音が幻聴として聴こえていました。

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